こんにちは、フジモトです。
南アフリカランドの下げ止まりが見えない状況が続いています。5日発表の1-3月期南ア国内総生産(GDP)が9年ぶりの低水準となった影響が残るなか、14日には南ア国営電力会社エスコムが賃上げを巡る労組との対立を受け、2005年以来の計画停電を実施しました。また、15日には南ア政府が鉱業憲章の改正案を発表。鉱業権保有会社の黒人株主比率について「1年以内に26%」から「5年以内に30%。取締役の50%以上を黒人、そのうち20%以上を黒人女性」に修正したが、投資家や業界団体から反対の声が上がっています。米中貿易摩擦への懸念や米金利先高観が新興国通貨安につながるなか、トルコやインド、インドネシア、アルゼンチンなど新興国の中銀が通貨安防衛に走ったものの、南ア準備銀行(SARB)が事態を静観していることもランド売りに拍車を掛けているようです。
格付け会社フィッチが15日、南アの格付け「BB+」を確認し、見通しを「安定的」とすると発表するとランド売りにいったん歯止めが掛かりましたが、週明け18日はランド売りが再開。19日にはトランプ米大統領が2000億ドルの追加対中関税の検討を指示したことで、ランド円は7.88円と昨年11月27日以来の安値を付けました。昨年11月13日の安値7.77円まで目立ったサポートが見当たらないなか、20日に5月南ア消費者物価指数(CPI)、21日に1-3月期南ア経常収支が予定されていますが、24日にはトルコ大統領選と総選挙を控えています。新興国通貨やランドへの逆風はしばらく続くと見ておいたほうがよさそうです。